本曲録の修繕を行わせて頂きました。匠工房こいちでは、本曲録(ほんきょくろく)や曲録の修繕修理も承っています。本曲録とは法要や仏事などで僧侶の方が使われる椅子のことです。やや日常的に使われるのが曲録で、より重要な場面で使われることを強調されているのが本曲録とご説明すればわかりやすいでしょうか。
豪華な細工と漆の艶を纏った優雅な曲線美がつくる光沢が、その美しさと高価であることを誰の目にも明らかにしていますよね。
一脚何十万円もするような折りたたみ式の椅子です。一見して見えないところに細心の注意をはらって丁寧に修繕を行なっていかないといけません。
装飾が法衣に引っかかってしまったり、もった手を傷つけてしまうようなことがあってはいけませんし、座面の皮の張りの強さを考えてピンの数や止め方も考えて修理しないと、肝心の座り心地が悪くなってしまいます。
見えるところを最高の状態にするために、見えないところにとことんこだわる、表には現れない部分にこそ手を尽くして修繕していくのは漆職人の性ですね。
元の価値を超えて何十年と使用され続けるように、その役割を代々の時を超えて末長く果たすことができるように、匠工房こいちの職人は、修繕修理に臨んでいます。