月影杏葉の宗紋と三つ葉葵の紋の慎ましやかな輝きが美しい、ある寺院の焼香台を修繕させていただきました。漆による重厚感のある艶の美しさは言うまでもありませんが、その中にあってこその金箔でしつらえたそれぞれの紋様が、浮かび上がっているかのような輝き、焼香台全体に一層の厳粛さと威厳を与えています。
一般的には金箔とともに銀箔も使用されることが多いのですが、銀箔は経年による変色で赤茶色に変わり、長年の使用によりその輝きが失われてしまうことがあります。
そこで、お値段は少し上がりまいますが、プラチナ箔をお勧めし、修繕時のこの輝きを末長く保つことのできる焼香台として生まれ変わり、施主様にとても喜んでいただくことができました。
修繕したばかりのものが美しく綺麗であるのは当然です。匠工房こいちでは、伝統工芸に根ざした確かな技法を駆使して、これからも末長くご愛用いただく年月のこともじっくり丁寧に考えた修繕を行わせていただいています。