職人に学ぶ伝統工芸、日本の和アート。漆工(しっこう)職人集団の古一(こいち)漆工。

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絹本封印

前回ご紹介した阿弥陀如来像。少し間があいてしまいましたが、仏師による彫りの作業が終盤を迎えた3月上旬の、いよいよ絹本を納めるという特別な日の様子をご紹介させてください。

絹本(けんぽん)とは・・・
絹の布地に絵や文字が描かれた書画作品や資料のことを指します。日本の伝統的な絵画や仏教美術において、仏画や経文の書写に用いられることが多く、古くは飛鳥時代に中国や朝鮮から伝来し、平安時代になると、仏画や写経に絹本が広く使われるようになり、日本独自の技法も発展してきました。ちなみに、紙に描いたものは紙本(しほん)と言います。

阿弥陀如来像への漆工_絹本を納める02

仏師の先生によって絹本が丸められ、銅製の筒に入れられていきます。絹本を仏像に収めることで加護を願い、奉納者や仏師の祈りを込めるなどの目的があります。今回、絹本に何が描かれているかをお見せすることはできませんが、携わる人々の深い祈りと思いが込められていることは間違いありません。

阿弥陀如来像への漆工_絹本を納める03

しっかりと蓋が閉められ、和紙でまかれて封印されました。これで、次にこの絹本が目にされるのは、数百年後の未来ということになります。
悠久の時を経て、修復の際などに発見される絹本。その時代の技法や信仰を知る貴重な資料となり、歴史研究の上で欠かせないものになることは、言うまでもありませんね。

阿弥陀如来像への漆工_絹本を納める04

絹本が入れられた筒は、しっかりと磨かれメッキ処理が施された銅製。サイズは15cm×2cmほど。
銅製の茶筒が優れているのと同じで、高い密閉性や銅イオンによる殺菌作用により、これからの計り知れない時の流れから絹本を守るためですね。

で、この絹本の入った筒が阿弥陀如来像のどこに納められたのかというと、、、

阿弥陀如来像への漆工_絹本を納める05

えーッ!そこですかーッ!すいません、わかったようにこの記事を書いている私も初めての経験でして、びっくりして思わず声に出してしまいました。そしてかなり奥に納められていく、、、胃のあたり?いや腸・・・?、どうやってつくられてるんだ。。。

阿弥陀如来像への漆工_絹本を納める06

親方は当たり前のようにして、すごいやろ、なかなか見れへんで、と驚く私を見て笑っていますが。
(まっ、厳密に一番驚いたのは、阿弥陀如来様の頭部が取り外された時なんですけど、その時の衝撃を少しでもみなさまにも感じていただきたくて、少し奇をてらった写真の並びにしてみましたぁ、ご容赦ください〜)

阿弥陀如来像への漆工_絹本を納める07

絹本納入においても、この阿弥陀如来像が、いかに精巧に彫られているかがお分かりいただけたのではないでしょうか。次回は、仏師の先生にこの阿弥陀如来像の各部位なんかについてお聞きしたお話をご紹介できればと思います。

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